代表挨拶

日本リザルツ代表:白須紀子

私がボランティアを始めたのは、1991年に骨髄移植推進財団(骨髄バンク)が設立され、事務局の第一号ボランティアとなったのがきっかけでした。それまで私は、三食昼寝付きのどこにでもいる普通のおばさんでした。自由に使える時間もあり、「何かお手伝いできることはありませんか」と骨髄バンクへ行き、事務局での電話の対応、宛名書き、街頭でのドナー登録の呼びかけと、ごくごく普通のボランティアさんをしていました。

骨髄バンクで活動を始めて10年目の2001年1月、娘の大学の先輩が26歳の若さで白血病で亡くなってしまいました。就職も決まりこれからというときでした。この不幸な出来事があり、地道に街頭活動だけをしていても、たくさんの患者さんを救えないと考えるようになりました。そんな思いから、娘の先輩が亡くなった翌月に開かれた骨髄バンクの公開フォーラムで、勇気を振り絞って手を上げ、震えながら用意した原稿を読み上げました。「30万人ドナー登録早期達成のために、責任官庁である厚生労働省が率先して省内で登録会をして、主体的に取り組む姿勢を示すことが重要ではないでしょうか」と。驚いたことに、それから10日もしないうちに、本当に、厚生労働省内で献血と併行してドナー登録会をやってくれたのです。“何か疑問に感じたり不都合があったりしたら、それを伝えることによって世の中が変わるんだ”ということを経験したわけです。
「私たち一人ひとりに世界を変えていく力がある」。
このリザルツの理念と私が骨髄バンクで得た教訓は同じものであったということが、現在の活動につながっています。政策を動かすには人の心を動かすこと。専門家しか分からない言葉を使うよりも、誰でも分かる簡単な言葉で訴えることが大切だと思うのです。
ODA予算が削減され続けている日本。思い出してください。日本も85年前の関東大震災では、世界中の国々から支援をしてもらいました。世界中に困った人がいれば、協力するのは当たり前のことではないでしょうか。
こんなことを考えながら事務局長を務めています。

貧困問題の解決を目指すアドボカシー(政策提言)型の国際市民グループ(NGO)